Q&A

【Q&A】業務上のケガが治癒(症状固定)した後、リハビリのため休業中の労働者を解雇することは労基法19条の解雇制限に違反しない?

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企業の人事担当者にとって、労働者の健康管理は重要な責務です。特に、業務上の事故やケガが発生した場合、その後の対応は法的な観点からも慎重に考える必要があります。

今回は、業務上のケガが治癒した後のリハビリ期間中に労働者を解雇することが労働基準法第19条の解雇制限に反するかどうかを考察します。

症状固定と解雇の関連性

業務上のケガを負った労働者が治癒し、症状が固定された後も、しばしばリハビリのため休業が必要となります。この期間中に労働者を解雇することは、一見、法的な問題を引き起こすように思えるかもしれません。

しかし、重要なのは「症状固定」という状態の理解です。

労働基準法第19条の解釈

労働基準法第19条では、労働者が業務上の理由で病気やケガをした場合、その治癒まで解雇できないと規定しています。

しかし、ここでいう「治癒」とは医学的な意味で完全な健康回復を意味するわけではなく、症状の固定をもって治癒とします。

「症状固定」とは、これ以上の医学的な治療やリハビリで改善の見込みがないと判断された状態を指します。

解雇の慎重な検討

したがって、同条が解雇を禁止しているのは、治癒(症状の固定)までの休業期間と、その後の30日間であり、症状が固定した後のリハビリ期間中に労働者を解雇すること自体は、必ずしも労基法19条の解雇制限に違反するわけではありません。

ただし、これはあくまで法的な側面からの解釈に過ぎず、実際の解雇の可否は、労働者の具体的な状態や職場環境、企業の対応方針など、多くの要素を総合的に考慮する必要があります。

労働者とのコミュニケーションの重要性

また、解雇を検討する場合は、労働者との十分なコミュニケーションや適切な手続きが求められます。

特に、労働者の状態によっては、代替の仕事の提供や職場復帰のための支援など、企業による配慮が不可欠です。

まとめ

業務上のケガが治癒(症状固定)した後のリハビリ期間中の労働者解雇は、法的には必ずしも禁止されていませんが、企業は労働者の健康と安全を最優先に考え、倫理的な観点からも慎重な判断をすることが求められます。人事担当者は、法的な知識に加えて、労働者の人権と尊厳に配慮した対応を心がけるべきです。

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