Q&A

性的指向や性自認の暴露(アウティング)はパワハラですか?

Q&A

社労士への労務相談

当社には、トランスジェンダーの従業員がいます。その従業員が働きやすくなるように、会社として今後どのように配慮すべきか、社内会議で検討したいと思っています。本人に対しては、社内の対応方針が決まるまで、会議をしていることは言わないつもりですが、問題ありますか?

社労士の回答・解説

はい。そのような対応はパワハラにあたる可能性が高いです。

アウティングはパワハラにあたる

本人の同意や承諾を得ることなく、性的指向や性自認を第三者に暴露することを「アウティング」といい、特にLGBTQの方々にとっては、甚大な精神的苦痛となる可能性があります。
2022年4月「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」の全面施行にともない、アウティングは厚生労働省が公表した「パワハラ防止指針」にも盛り込まれ、基本的にパワハラにあたる行為とされています。

そのため、たとえ「本人のため」という目的があったとしても、アウティングはパワハラにあたるので注意が必要です。

アウティングによる労働環境の悪化

職場でのアウティングはパワハラにあたるというだけでなく、労働環境をひどく悪化させる可能性があります。
本人が知らない状態で性自認や性的指向について社内会議を行うことは、本人にとって非常に不安やストレスを与える行為です。
良好な職場環境を維持するため、まずは本人と十分にコミュニケーションを取り、同意や承諾を得ることが重要です。

具体的な対応策

  • 本人との対話:まずは本人と安全な環境で対話を行い、その希望や不安について理解を深めます。
  • 社内ポリシーの策定:本人の意見を反映させた上で、全社員が納得できるような方針を作成します。
  • 教育と啓発:パワハラ防止についての教育を全社員に行い、具体的なケーススタディを通じて理解を深めるよう努力します。
  • 注意喚起:パワハラの危険性

まとめ

アウティングとは、性的指向や性自認を本人の同意なく公表する行為のことをいいます。

職場でのアウティングは、パワハラにあたる可能性が高く、労働環境を悪化させる危険性が高く、「パワハラ防止法」にも明示されています。

目的が「本人のため」であるとしても、事前の同意や承諾がなければ、それは許容されない行為である点に注意し、まずは本人とのコミュニケーションをとり、その上で社内ポリシーを策定し、全社員への教育を行うようにしましょう。

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