自主的な残業と労働時間性
当社は従業員20人の製造業の会社です。去年入社したAは、仕事が遅く、毎日30分から1時間ほど残業をしています。
しかし、Aの残業について会社から指示をしたことはなく、仕事をやり残したAが自主的に残って仕事をしているようです。
そのため、これまでAに対して残業代は支払っていませんが、支払わなければならないのでしょうか。
残業代を支払わなければならない可能性が高いといえます
終業時刻後の残業は、始業前の就業と異なり、いったん指揮命令下に置かれた状態の延長として行われるため、労働時間として認められる可能性が高くなります。そのため、いくら会社の指示がなかったとはいえ、残業代を支払わなければならない可能性が高いといえます。
このような状況を回避するためには、会社側が明示的に残業禁止の命令を行う、又は、残業は上司の許可があった場合のみ行うなどの社内ルールの整備が必要です。
ただ、仮にそのような対策をとったとしても、定時時間内に負えることのできない量の仕事が与えられていたような場合には、黙示的に残業の指示があったとして、労働時間性が認められる可能性が高くなります。