先日、厚生労働省より「報酬」と「賞与」の区分の明確化として、賞与にかかる諸規定を新設した際の取り扱いが明示(※1)されましたが、そもそも「報酬」と「賞与」について、どちらに該当するのか判断に迷うことはないでしょうか。
(※1:【事業主の皆さまへ】報酬・賞与の区分が明確化されます|日本年金機構 (nenkin.go.jp) )
「報酬」及び「賞与」は、保険料額及び、将来受け取る年金額の計算の基礎となることから、正しく判別のうえ届出を行う必要があります。
「報酬」として支払われている賃金は、随時改定・定時改定の計算をする際の基となり、決定された「標準報酬月額」の等級に沿った保険料を毎月納めることになります。
それに対し「賞与」は、原則、支給の都度「賞与支払届」の届出を行い、届出た支給額に料率を乗じて算出された保険料を納めることになります。
では「報酬」と「賞与」の違いとは何か、何をもって判断すべきなのでしょうか。何となく理解しているつもりでも、いざ判断をすべき場面で迷ったことはありませんか。
一般的に「賞与」とは、“臨時的に、且つ、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金”と定められています。
では、「インセンティブ」はどうでしょうか。
「インセンティブ」は、毎月必ず支払われるものではないけれど、俗に言われる「夏のボーナス・冬のボーナス」のような定期賞与とも違います。
事業所ごとに定めている各種規定に記載されている性質や、賃金台帳上での支払い回数や支給項目などの違いにより、「報酬」として扱われる場合と「賞与」として扱われる場合があります。
このように、賃金のなかには「報酬」なのか「賞与」なのか、判断が難しいものも存在します。
今年の年金調査においても、多くの事業所で指摘されたのが「賞与」でした。
具体的な例として、「年末年始手当」という項目が挙げられています。
この手当は、年末年始に出勤した従業員に支払われるものであり、事業所ごとに名称や支給額が異なることがあります。
年金調査においては、多くの事業所がこの手当を「賞与」として提出する必要があり、遡及手続きが発生する場合もあると指摘されています。
そのほかにも、毎月の給与の中で、固定給などと共に支払っていたために「報酬」として扱っていた賃金が、正しくは「賞与」として扱うべきとの指摘を受け、過去の支給分まで遡って「賞与支払届」を届出するなどの対応が、多くの事業所においてみられました。
今後、自社の賃金見直しや、新たな手当の支給に際して、「報酬」と「賞与」の区分判断に迷った場合は、弊社や給与ベンダーと相談することを推奨します。