令和4年7月、起業に失敗しても安心な雇用保険制度の拡充

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働き方が多様化する現在において、会社を退職後にご自身で起業しようとする方もいらっしゃると思います。

そういった方の支援策のひとつとして、令和4年7月1日より雇用保険の基本手当受給期間延長の特例要件に新たな要件が加わります。

今回は、事業を立ち上げようとしている方に対する雇用保険の基本手当受給にかかる、新たな特例要件についてご紹介します。

雇用保険の基本手当とは

基本手当とはいわゆる失業給付と呼ばれるもので、雇用保険の被保険者の方が退職した後、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職できるよう支援することを目的として支給される給付金です。

(基本手当を受給する際は、就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態であることが条件となります。)

基本手当受給期間延長の特例要件について

雇用保険基本手当の受給期間は、原則1年間と定められています。

新しく起業したとしても上手くいかず、廃業した後に改めて求職活動を行いながら基本手当を受給しようと思っても、 既に受給期間が過ぎていて、受給が出来ないケースがありました。
(これまでは、基本手当の受給期間延長は、病気やけが、妊娠、出産、育児等の理由により30日以上働くことができない状態が続いた場合にのみ、認められていました。)

今回新たに施行される特例要件の中には、受給期間延長を適用する条件として、基本手当の受給資格者が事業を開始し、その後に廃業した場合「当該事業の実施期間を失業給付の受給期間に算入しない」という特例が加わることとなります。

具体的な特例対象者は?

今回の特例は、離職日後に事業を始めた方と以下のいずれかに該当する方が対象になります。※1

① 離職日以前に事業を開始し、離職日後に当該事業に専念する者

② その他事業を開始した者に準ずるものと管轄公共職業安定所の長が認めた者
*例えば、開業準備に専念していたが、開業に至らなかった者等を想定。(業務取扱要領)
*開業準備の専念による特例申請の場合は、具体的な準備行為が客観的に確認できる資料(金融機関との金銭消費貸借契約書の写しや事務所賃借のための賃貸借契約書の写し等)の提出を求める予定。(業務取扱要領)

※1『雇用保険法施行規則等の一部を改正する省 令案概要』より抜粋

まとめ

今回の雇用保険基本手当にかかる特例要件の改定・施行は、新しく事業を立ち上げようとしている方のセーフティーネットとして機能することが期待されます。

多様な働き方にチャレンジする方が増えてきた昨今におきましては、今回ご紹介させていただいた制度を含め、賢く利用していきたいですね。

参考資料
・『離職されたみなさまへ』
(https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/content/contents/antei-PL011107-H01.pdf)
・『雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要』(https://www.mhlw.go.jp/content/000905032.pdf)
・『雇用保険法施行規則等の一部を改正する省 令案概要』(https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000922090.pdf)

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