ジョブ型雇用とはどんな制度?わかりやすく解説します

コラム

最近、国内の有名企業が相次いで導入したことで、「ジョブ型雇用」が人事関係者の間で注目を集めています。

そこで今回は、話題の「ジョブ型雇用」について解説します。

そもそもジョブ型雇用ってどんな制度?

「ジョブ型雇用」とは、職務を明確に規定し、最適な人材をあてる人事システムのことをいい、近年、世界では主流となっています。

職務規定書(いわゆるジョブ・ディスクリプション)に具体的な業務内容や責任範囲、求められるスキルや技能、目的、資格などを記載し、これに基づいて人材をあてていきます。

それぞれのポストに最適な人材を配置することで、生産性を高めることができるといわれています。

メンバーシップ型の問題点とジョブ型雇用拡大の背景

「ジョブ型雇用」に対し、従来の日本型の雇用システムは「メンバーシップ型」と呼ばれ、会社主導の人材育成、新卒一括採用、終身雇用、年功序列を基本としてきました。

高度経済成長期を支える原動力となりましたが、近年になって、

  • 賃金と能力レベルの乖離(つまり市場価値とのミスマッチ)
  • 専門性の高い人材が育たない
  • 優秀なグローバル人材の確保が困難

などの問題がクローズアップされるようになりました。

これらを解消するために導入がすすんでいるのが、ジョブ型雇用です。

またコロナ禍でテレワークが急拡大しているのも背景の一つです。

直接のコミュニケーションが取りにくい、時間ベースでの管理がしにくいテレワークに対し、職務内容を明確に定め時間より成果で評価する方法が必要として、ジョブ型雇用への注目が高まっています。

ジョブ型雇用で解雇が簡単になるという噂

ジョブ型雇用でよく聞かれるのは「解雇が簡単になる」という話ですが、結論からいうと、日本の法制度が変わらない限り、解雇が簡単になるということはならないと考えられます。

何故なら、日本の労働法制度では解雇への法規制が非常に厳しく、労働者は手厚く保護されているからです。 

労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。

ジョブ型の社会では職務の消滅が解雇理由となりますが、これまでの日本の判例法理に照らし合わせると、必ずしもこれが「客観的に合理的で」「社会通念上相当であると」認められるとは限りません。

もっとも、判例も世の中の動向とともに変化する傾向があるので、ジョブ型がもっと普及し、解雇の問題が出てきたときにどういう判決が下されるかは注視していく必要があります。

ジョブ型雇用導入の注意点

ジョブ型雇用を導入する際には、

  1. 職務が消滅した際の雇用維持リスク 
  2. 賃金の下方修正に対する妥当性 (つまり不利益変更を行えるか) 
  3. 退職者の補充に対する人事異動の難しさ

などを踏まえて制度設計を行う必要があります。

本格的な導入でなくても、まずは自社の職務規定書を作成してみるのもいいかもしれません。


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