【令和6年版】キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給額・要件が変更

令和5年11月29日、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の制度が拡充されました。新しい加算措置が創設や助成額の増加、受給条件の緩和など、令和6年以降、企業がより利用しやすくなったと言えるでしょう。

今回の変更により、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の導入を検討している事業者も多いかと思います。そこで、令和6年度のキャリアアップ助成金(正社員化コース)が、以前とどのように変更されたのか、解説したいと思います。

目次

キャリアアップ助成金とは

まず、キャリアアップ助成金について簡単に解説をします。

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の労働条件の向上を目指して設けられた助成金制度です。この制度は、有期雇用労働者、パートタイマー、派遣労働者などの非正規雇用労働者の正社員化やその雇用条件を改善するための制度を整備し、一定の要件を満たした事業主に支給されます。

キャリアアップ助成金には主に2つのコースがあります。一つは正社員化を促進する「正社員化コース」、もう一つは労働条件の改善をサポートする「処遇改善関係コース」です。

今回、内容が拡充・変更されたのは「正社員化コース」です。就業規則やその他の社内規定に基づいて、有期雇用労働者を正社員化した場合に支給される制度で、キャリアアップ助成金の中で最も人気のあるコースです。

令和6年度はキャリアアップ助成金が拡充

令和5年11月29日、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の拡充案が盛り込まれた令和5年度補正予算案が成立しました。キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給額の増額や要件緩和など、より使いやすい制度へと変更されました。

具体的な変更点は下記の4点です。

1、助成金(1人当たり)の見直し

助成金の支給対象期間が、現在の「1期(6ヶ月)」から「2期(12ヶ月)」へと拡充されます。支給対象期間とは、非正規雇用から正社員に転換した後の期間を指します。変更前は、正社員化した後6ヶ月間給与を支払った場合に57万円が支給されていました。

令和6年以降の新しい制度では、正社員化後の6ヶ月ごとに分けられた2期間にわたって、各期間に40万円ずつ、合計で80万円(大企業には60万円)が支給されます。第2期の申請を行う際は、第1期と比較して労働条件が悪化していたり、賃金が減少していたりしてはならないという点に留意する必要があります。

令和6年版|キャリアアップ助成金の正社員化コース見直し(1)
引用元:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001172971.pdf

2、対象となる有期雇用労働者の要件緩和

正社員化コースの対象となる有期雇用労働者の雇用期間の要件が、「6ヶ月以上3年以内」から「6ヶ月以上」へと緩和されました。

以前は、雇用開始から3年以上が経過している有期雇用労働者はこの助成金の対象外でしたが、変更により、3年を超える雇用期間の従業員も対象に含まれるようになり、対象者範囲が拡大されました。

令和6年版|キャリアアップ助成金の正社員化コース見直し(2)
引用元:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001172971.pdf

3、正社員転換制度の規定に関する加算措置

新たに、正社員転換制度の導入に着手する事業主への支援強化策が導入されました。

これまで就業規則やその他の社内規程に、正社員への転換を促す具体的な規定を設けていなかった事業主が、新たにそのような規定を作成し、実際に正社員転換を実施する場合、助成金の支給額に20万円(大企業の場合は15万円)が加算されます。

令和6年版|キャリアアップ助成金の正社員化コース見直し(3)
引用元:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001172971.pdf

4、多様な正社員制度規定に関する加算措置

「多様な正社員制度」の規定に関する助成金の加算額が増額されました。「多様な正社員」とは、短時間勤務の正社員、特定の職務に限定された正社員、または勤務地に限定された正社員などを指します。

これまで就業規則やその他の規程に、このような多様な正社員への転換を促す条項を設けていなかった事業主が、新規にその条項を設定し、実際に多様な正社員への転換を実施した場合、助成金の支給額に40万円(大企業の場合は30万円)が追加されます。

令和6年版|キャリアアップ助成金の正社員化コース見直し(4)
引用元:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001172971.pdf

まとめ

令和5年11月29日に、キャリアアップ助成金の正社員化コースに関して大幅な改正が実施されました。支給額の増加、支給条件の緩和、さらには新たな支援策の導入などにより、令和6年度からのキャリアアップ助成金の正社員化コースは、労働条件の見直しや改善を検討している企業にとって、より利用しやすくなっています。

ただし、助成金の申請プロセスは複雑で時間を要することがあります。助成金の受給をスムーズに行いたい場合は、ぜひ「SATO社会保険労務士法人」へご相談ください。業界最大級の社労士事務所として、キャリアアップ助成金だけでなく、貴社の具体的な状況に応じた様々な助成金プランの提案を行っております。

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