2021年(令和3年)、職場の衛生基準改正により照度基準が引き上げられました

2021年(令和3年)12月1日に公布された「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」により、職場における一般的な労働衛生基準が見直されました。

この改正は、労働者の安全と健康を確保し、快適な作業環境を提供することを目的としたもので、事務所における照明の基準である「照度」をはじめ、トイレや救急用具に関する内容が変更されています。

今回は、改正された主なポイントをご紹介します。

目次

作業面の照度【事務所則第10条】※令和4年12月1日施行

事務所に必要な照度は、作業内容によって異なっていました。改正後は、作業区分が、「一般的な事務作業」及び「付随的な事務作業」の2区分となりました。一般的な事務作業では、照度基準が300ルクス以上とされ、付随的な事務作業では150ルクス以上とされました。

改正前より照度基準の下限が引き上げられたことに注意が必要です。

照度が低いと目が疲れやすくなりますし、作業効率や品質にも影響が出る可能性があります。事務所の照明設備や窓の位置などを見直して、適切な明るさを確保しましょう。

便所の設備【事務所則第17条、安衛則第628条】

便所を男性用と女性用に区別して設置するという原則は維持されますが、独立個室型の便所を追加する場合や、少人数の作業場における例外について明確化されました。

少人数の事務所における例外

同時に就業する労働者が常時10人以内である場合は、男性用と女性用に区別した便所を設置しなくてもよいとされました。ただし、その代わりに独立個室型の便所を設ける必要があります。

男性用と女性用に区別した便所を各々設置した上で付加的に設ける便所の取扱い

男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合は、男性用大便所の便房、男性用小便所及び女性用便所の便房をそれぞれ一定程度設置したものとして取り扱うことができるようになりました。これは、独立個室型の便所を利用することで、男女の区別に関わらずプライバシーを保護できるという考え方に基づいています。

救急用具の内容【安衛則第634条】

改正前は、救急用具について「ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬」など具体的に指示されていましたが、今回は品目の規定がなくなりました。代わりに、事務所や作業場の特性やリスクに応じて、必要な救急用具を選択できるようになりました。

職場における労働衛生基準見直しの主な項目とポイント
厚生労働省HPより:https://www.mhlw.go.jp/content/000857961.pdf

テレワークの注意点

ちなみにテレワークにおいては、事務所衛生基準規則や労働安全衛生規則は適用されませんが、厚生労働省はテレワークを行う際の作業環境として「作業に支障がない十分な明るさにすること」等を求めています(机上は照度300ルクス以上)。

従業員にテレワークを行わせる場合は、チェックリストを活用して作業環境に関する点検を行うとともに、必要な場合には、サテライトオフィスなどを検討することも重要です。

以上、2021年の職場の衛生基準改正についてご紹介しました。職場の衛生基準は、労働者の健康や生産性に直結する重要な要素です。改正内容を把握し、適切な対応を行ってください。

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